社長コラム

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起業から株式会社に至るまでの軌跡

第8話 教え

独立して5ヶ月目に入り、私は時間がある時と週末は日本橋のパソコンショップでアルバイトをするようになりました。
恥ずかしい話ですが売上が倍増です・・・。
色んな出費があったのでお金が必要だったのと商品の流通を知りたかったこともあり、2ヶ月限定でアルバイトをさせてもらうことになったのです。
時給は1000円。独立して初めて1ヶ月先の収入が約束されました。
このパソコンショップでの経験は今でもとても役に立っています。
実際に店頭でお客様の接客をさせて頂くと同時に、商品の仕入方法等を教えて頂き、パソコン業界のハードウェアやソフトウェアの流通を把握することが出来たのですから。
常にライバル店の価格を把握し、リアルタイムに商品の店頭価格が変動したり、状況に応じて店舗のレイアウトを変えたりと情報戦争の裏側を垣間見ることができました。
アルバイトは2ヶ月続けさせてもらい、色々とお声をかけて頂いていたのですがお店をやめることになりました。
そしてこのアルバイト中に父の知人からシステム会社を探している人がいるからということで紹介して頂いた会社に行ってみることにしました。
その会社に伺うと、その会社の専務さんが応対してくれました。
私は自分のこれまでの経歴と、ここしばらくの私の仕事内容を説明させて頂き一息つくと、その方は「それなら、この会社のシステムを全部見てくれるかー?」と言われ、私は「いや、まずは私の実力を見てもらってからにされた方が・・・」、私が話をする暇もなくその方は「丁度良かった。今来てもらってるシステム会社は今日で止めや、明日からは君が全部見るようにしいや」。
なんと無謀な。
その後、私が何を言っても聞いてくださる様子もなく私は「一体どうなるんやろう」、不安を持ちながらその日は帰らせて頂きました。
そして次の日から、その方からインターネットをするための通信の設定やハードの発注のお話が来るようになりました。
「本気で僕に任せはる気や!」。



私は依頼されたことに対して見積りを作成し、直ぐにアポイントをとり会社に伺い見積りを出して説明しようとすると、「あほー!お前に見積り持って来い言うたかー、俺は商品持って来い言うたやろー!見積り持ってくる前に頼んだ商品持ってこい!」といって追い返されました。



「いったいどういうことなんや??、幾ら掛かるか解らんのに商品買う気やろか?、なんで見積りいらんねん?なんで見積り持って行って怒られんねん?」私は訳がわからず、兎に角、言われた商品を仕入れて商品を入荷した旨を伝え、納品に伺うことにしました。
また一旦持ち帰っていた見積書も一緒に持って行くことにしました。
注文して頂いた商品はパソコンでした。
「すいません、納品が遅くなりまして・・・」私がそういうとその方は嬉しそうな顔をされて「はよー(早く)使えるようにしてやー」と言ってデスクに向かわれる前に「お金のことは****と話したらええから」。
そしてこの会社様との取引が始まりました。
この後は信じられないことにこの会社の関連会社様への発注システムや販売系のシステム、ハードウェア、その他システムに関わること全てを私に依頼して頂くようになるのです。
また見積りは殆ど出さないに等しく取引が続いていくのです。
取引条件も基本的には全て私の方に負担が掛からないようにして下さいました。
本当にありがたい話です。
ただこの信頼は私にとっては大きなプレッシャーでした。
会社としては利益を上げなければならないが、ここまでして頂くと反対にお金を頂けなくなってしまってなんだか変に悩むようになっていました。
また徐々にオーバーワーク気味になってきていたので、そのためこの方からは本当によく怒られました。
ある時には電話で「お前みたいな奴、もう来なくてもいい」とまで言われたこともありました。
ただ私は不思議と腹が立ちませんでした。
独立してから誰かに怒られるということがなかったからかもしれませんが、本気で怒ってくれる人ってなかなかお会いできませんよね。
ただ理由が解らず怒られることも何度かあったのですが、その理由を聞きに行く度に何か温かさを感じるようになりました。
私はいつの頃からかこの方のその無茶苦茶なところがとても好きになっていました。
無茶なことを言っているはずなのですが、この方の考え方からすれば確かに正しいし、私が出来ていないのだと思うようになりました。
また請求に関しても「しっかり請求しいやー」と。
変に気を使いすぎると怒られるし、気を使わないでいても怒られるし、一体どうしたら?答えは簡単でした。
自然にすれば良かったのです。
私自身をそのまま出せば良かったのです。
無理な物は無理で納得して頂けるように説明させて頂き、お金が掛かる物はお金が掛かると言えば良かったのです。
今でももちろんこの会社様ともお取引はさせて頂いています。
また私にとってはこの方とお会いするとなんだかホッとするそんな存在になって頂いています。
飲みに連れて行って頂いたり、ご自宅に呼んで頂いたりと可愛がって頂き、その度にその無茶苦茶さに感服させられます。
どこかで私は「いつか私もこんな風になれたらなあ」と思っているのかもしれません。
生き方や考え方など色んな意味で私にいつも刺激を下さる方です。
でも本当に凄い方なんですよ。


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